大阪大学医学部附属病院の特色

 本院は、平成27年8月7日に、医療法上の臨床研究中核病院として承認され、臨床研究等の中心的役割を担っています。治験の実施に関して、治験実施診療科は20を超え、大学病院の特性として特殊性、専門性において難度の高いプロトコルに対応可能です。令和3年度はWeb会議システムを用いた治験審査委員会を安定的に継続開催し、新型コロナ禍の中においても、新規治験が医薬品59件、医療機器3件、再生医療等製品2件、医師主導治験9件の合計73件で、例年の実施件数を維持できました。また、令和2年度からの継続治験は医薬品190件、医療機器13件、再生医療等製品7件、医師主導治験26件の合計236件を実施いたしました。また、国際共同治験も162件(新規43件、継続119件)実施するなど、多岐に亘る豊富な治験の実績があり、医師主導治験も現在24試験が実施中、うち4件が医療機器、1件が再生医療等製品です。

 

未来医療開発部では橋渡し研究から質の高い臨床試験までシームレスに支援・実施し、増加する医師主導治験に対応する臨床試験支援・実施体制を構築すること、企業治験のいっそうの活性化を図ること、多施設ネットワーク基盤を構築し橋渡し研究・臨床試験の活性化を図ることを目的として、日々取り組みを行っています。

 

また、Phase-Ⅰ試験を含む早期臨床試験の実施医療機関としての体制の整備を行い、実施しています。平成25年10月には国内初のPET-マイクロドーズ試験を実施しました。

 

治験の効率的実施と企業負担の軽減のため統一書式の導入による手続きの簡素化や手続き期間の短縮、一部の審査資料の電子化等種々の取り組みを行っており、従来に比べて極めて依頼しやすい環境を整備しています。 COVID-19がまん延した令和2年度は、当該感染症に関連する緊急性のある治験の実施を速やかに対応しました。また、新たな効率化の取り組みとして、平成29年4月より大阪府内の医療機関で構成している地域治験ネットワークである「治験ネットおおさか」の事務局と共同IRBを一元化し、臨床研究センター内に事務局を設置しました。令和3年度は「治験ネットおおさか」での継続審査や、医師主導治験1件の他施設の新規審査を受託しました。

 

その他、効率化の取り組みとして平成29年より、カルテのリモートSDV対応を開始しています。運用手順を定め、専用のシステムを開発することにより、院外からのモニタリングを可能としました。新型コロナ禍においては、今後も重要となりうる治験実施体制であることから、サーバを増設し、対応しています。

 

治験に関連する設備として、モニタリング専用スペースは、未来医療開発部に6ブース、院内の病歴閲覧室に5ブース設置されています。また、院内には治験患者さんを優先的に採血する看護師の配置や、治験患者さんの来院管理などを行う「治験コーナー」の他、「治験専門外来」を設置し、患者さんに安心して治験に参加していただけるよう設備の充実を図っています。平成28年4月には未来医療開発部内に「被験者保護室」を設置し被験者保護を最優先とした治験が実施されるよう努めています。

 

また、臨床検査室認定の国際規格であるISO15189 (臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項)を平成27年9月17日に取得しました。外部認定を取得することで検査精度の信頼性を確保しています。

 

今後も本院治験実施体制を強固にし、新型コロナ禍においても揺らぐことなく、質の高い治験が実施できるよう積極的に取り組んでいきます。